頭痛と鍼灸
皆さんこんにちは、スタッフの飯塚です(*^^*)
頭が痛くて大変な思いをされた経験をお持ちの方は、多くいらっしゃるかとおもいます。
季節の変わり目には、頭痛が出やすいと言われています。
理由はいくつかありますが、気圧の影響や自律神経への影響などが挙げられます。
今回は、そんな辛い頭痛について皆さんにお伝えさせて頂きます。
頭痛の分類
頭痛と言っても、いろんな種類があります。
国際頭痛学会では頭が痛くなる原因や場所などにより頭痛を分類しています。
頭痛の分類は国際頭痛分類第3版β版というのが主流となっております。
☆一次性頭痛
- 片頭痛
- 緊張型頭痛
- 三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)
- その他の一次性頭痛疾患
☆二次性頭痛
- 頭頸部外傷・障害による頭痛
- 頭頸部血管障害による頭痛
- 非血管性頭蓋内疾患による頭痛
- 物質またはその離脱による頭痛
- 感染症による頭痛
- ホメオスターシス障害による頭痛
- 頭蓋骨、頸、眼、耳、鼻、副鼻腔、歯、口あるいはその他の顔面・頸部の構成組織の障害による頭痛あるいは顔面痛
- 精神疾患による頭痛
☆有痛性脳神経ニューロパチー、他の顔面痛及びその他の頭痛
- 有痛性脳神経ニューロパチー及び他の顔面痛
- その他の頭痛性疾患
国際頭痛分類を見ると数多くの頭痛疾患があるのがわかります。
上記の分類のなかには鍼灸治療で対応できる頭痛がいくつもあります。
一次性頭痛の中で片頭痛と緊張型頭痛は鍼灸治療で軽減できる可能性がある頭痛です。
緊張型頭痛は頭部とそれに関係する筋肉の緊張や血流が悪いことから起こると言われています。
筋肉の緊張を取り血流を改善することが緊張型頭痛では最適な治療と言えます。
鍼灸治療の効果に筋肉の緊張を取る作用と血流が良くなる作用があります。
緊張している筋肉の筋膜へ鍼をすると筋肉の緊張が取れて筋肉が緩みます。
また、鍼治療を行った周りの組織の血流が良くなります。
片頭痛も鍼灸治療で軽減できる可能性がある頭痛です。
片頭痛は頭の片側がズキズキと脈打つ痛みがあり、ひどい人は吐き気や嘔吐があり、光や音に過敏に反応することが多い病態です。
痛みの原因は頭の中の血管が拡張して周囲の炎症が広がることや脳内でのセロトニン分泌の低下が原因と言われていますが、はっきりとした原因はまだわかっていません。
鍼灸治療を行い自律神経が整ってくると血管の運動性(血管を拡げたり縮めたりすること)が改善し、また頭の血管の異常拡張が減る事とセロトニン分泌量が増加して発作的な痛みがなくなって来ると言われています。
頭痛と自律神経の関係
頭痛は筋肉・血管・神経の影響で痛みが出ることがありますが、主に自律神経が影響しています。
自律神経は私達の意思とは関係なく、自律して身体の器官を動かしています。
自律神経はからだの活動を司る交感神経とリラックスを司る副交感神経の2つの神経がバランスよく働くことで人間を周りの環境に適応させています。
余談になりますが、自律神経は汗腺にも分布していて、私たち人間は汗腺が他の動物に比べて発達しています。
動物は運動量が増えると体温が上がっていきます。
運動量が増えてからだが高温になるとからだの組織は熱に耐えられなくなります。
しかし、人間は汗をかくことによって汗が蒸発する気化熱を利用して体温を効率的に下げ、長時間の運動にも耐えれるように進化してきました。
人間の体温を調整する中枢は脳の視床下部にあり、視床下部は自律神経の大本になります。
自律神経は交感神経と副交感神経がバランスよく働くことで私達のからだを調節しています。
自律神経が乱れると周りの環境に適応できなくなり、体調を崩してしまいます。
頭痛の一部は自律神経の乱れから起きると言われています。
自律神経の調整が得意な鍼灸治療は頭痛に対しても良い効果を出せる治療になります。
頭痛には鍼灸がおすすめ
鍼灸は筋肉の緊張や痛みを鎮める効果や自律神経の調整、脳神経へ刺激する作用があります。
また、鍼灸はからだへ鍼やお灸の刺激をして治療する方法ですが、副作用があまりなく、からだへの負担が少ない治療と考えられます。
鍼灸で自律神経へ作用させるには、姿勢とからだへの刺激方法がカギになります。
筋緊張型頭痛を解消するには、筋肉の緊張を取り、コリを改善する必要があります。
筋肉の緊張を取り、身体をリラックスする方向へ導くには副交感神経が優位に働く必要があります。
鍼灸ではからだを横にした姿勢(仰臥位)で治療を行います。
横になった状態でからだへ刺激を行うと交感神経が抑制され副交感神経が働きやすくなります。
副交感神経が働くと内臓への血流が増えて消化機能が高まります。
筋肉は緊張が取れてコリが改善します。
頭痛も頭部周囲の緊張が取れることで改善されます。
片頭痛は血管が拡張することによって拍動性の痛みが出たり、血管周囲へ炎症が広がり痛みが出ると言われています。
また、片頭痛の発作時に脳内ではセロトニンの分泌が減少していることがわかっていますが、まだはっきりとした原因は解明されていません。
鍼灸では治療と上体を起こした姿勢を組み合わせることで片頭痛の症状をある程度予防・軽減できることがわかってきました。
片頭痛の治療では血管の拡張を抑える事と脳内のセロトニンの分泌を高める必要があります。
血管拡張を抑えるには交感神経が優位に働くことが必要です。
交感神経は、血管を収縮させる働きがあり、鍼灸で交感神経を働かせるには、上体を起こした姿勢で治療を行います。
交感神経の働きが高まると、血管の収縮が促されます。
片頭痛の痛みの原因の一つに、血管が拡張することによって血管周囲の知覚神経が刺激されて拍動性の痛みが発生すると言われています。
交感神経がうまく働くことによって血管の運動性が高まり痛みが落ち着いてきます。
また、感情や情動的な部分に関係するセロトニンは、痛み感覚の調整や運動機能に深く関係していて、脳内のセロトニン量の変化は痛みや情動へ直接的に影響する事がわかってきています。
片頭痛が起きるメカニズムの一つにセロトニン分泌量の低下が関係しており、鍼灸治療を行うとセロトニンの分泌増加が起こることがわかっていますので、片頭痛には鍼灸治療が有効なのがわかります。
以前は片頭痛持ちの方が発作的に痛みが出たときに、痛みのコントロールがうまくできない事が多かったと思います。
最近では片頭痛が自律神経、セロトニン分泌量と関係することがわかり、片頭痛の発作が出る前に予防がとても大事だと言われるようになってきました。
鍼灸治療を定期的に受けることで、セロトニンの分泌量を増加させつつ、片頭痛が出そうなときは、鍼灸治療で交感神経を働きやすくすることによって、片頭痛の痛みをある程度コントロールできるようになってきています。
自律神経は日々の生活でストレスを受けて疲労しているケースも多く、定期的な鍼灸治療で体調を整えていくことで、頭痛を軽減できる可能性があります。
頭痛で悩まされている皆さん、頭痛との付き合い方を考え、一度ご相談ください(^_-)-☆