感染症と東洋医学
こんにちは(*^^*)スタッフの飯塚です!
今回は感染症と東洋医学についてお話しさせて頂こうと思います。
感染症は古来より病原体がヒトへ感染し時にヒト−ヒト感染の大流行を起こしてきた歴史があります。
例えば、天然痘、ペスト、マラリア、インフルエンザなどです。
感染は病原体が人の体内に侵入し定着、増殖することで成立します。
感染すると症状が出る場合(顕性感染:ケンセイカンセン)と症状が出ない場合(不顕性感染:フケンセイカンセン)があります。
不顕性感染者は、知らない間に保菌者(キャリア)となって病原体を排泄し、感染源となって感染を拡げる可能性が高いので、しばしば問題となります。
今回、世界で感染の猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症は潜伏期間が長く、不顕性感染者となっている人も多く、知らぬ間に多くの人に感染してしまっていることが問題となっています。
東洋医学発祥の中国でも古来より感染症の大流行を繰り返してきています。
その中で感染症の病態や対処法を記述した書物が1400年たった現在でも活用されています。
その書物は、傷寒論といいます。
傷寒論
傷寒論(しょうかんろん)は張 機(ちょうき、(150年代 – 219年)は、中国後漢の官僚で医師。一般には「張仲景」と呼ばれることが多い)によって作成された中国の古典です。
傷寒論には急性熱性疾患の発症から治癒または死亡までの過程について,診断と治療に関して詳細に記載されています。
傷寒論に記載されている急性熱性疾患は“傷寒病(しょうかんびょう)”と呼ばれています。
現代の病気に当てはめるとかぜ症状を始めインフルエンザや腸チフス、マラリアなどの発熱を伴う感染症(新型コロナウイルス感染症も当てはまるのではないでしょうか?)も含まれていたと考えられています。
傷寒論によれば、傷寒病は病状の変化が早い病気とされ、6つのタイプ(六病位:ろくびょうい)に分けられています。
外邪と言われる病気の根源は体表から侵入し病期が進行し太陽病(陽病の初めであり、悪寒、発熱、頭痛を伴い身体の表に熱がある)、陽明(ようめい)病(陽病が最も明らかになり、胃腸系の炎症が強く、病気の症状が一番激しく現れる)、少陽(しょうよう)病(陽気が少なくなり、病位が表から裏にまたがった状態)、太陰(たいいん)病(陰病のはじめ。胃腸系の冷え)、少陰(しょういん)病(生命力は弱まり、熱は出ず、ずっと寝ていたい状態。腎、膀胱系の冷え)、厥陰(けついん)病(生命力が今まさにつきようとしている様態。手足先端から心臓部への冷え)の六病に分けられています。
傷寒病に対処する漢方薬
傷寒論での病気を対処するには漢方薬を使います。
みなさんもよく聞く漢方薬では、葛根湯、麻黄湯、芍薬甘草湯などではないでしょうか?
葛根湯は風邪のひき始めにとよく聞きますが、葛根湯は外邪の一つで風寒の邪が原因で起こる外感病の初期段階である太陽病(かぜなどの発熱性疾患初期で、頭痛、項の強張り、悪寒、 脈浮などの徴候がある状態)の状態で、項背のこりが強く、汗が無く、また風に当たると寒気がするなどの症状を呈するものに用いると1つ目の条文に記載されています。
このように傷寒論を読み解くと体の状態や症状に対して処方する漢方薬について記載されています。
しかし、残念なことですが、新型コロナウイルス感染症対策に絞ったことは記載されていません。
(もしかすると対処するヒントになるものはあるかもしれませんが)
今回の新型コロナウイルスは恐らく人類史上ヒトが初めて出会ったウイルス株で多くの人にはまだ免疫がありません。
ワクチンや抗ウイルス薬の開発が急がれているのが現状です。
中国では漢方薬による新型コロナウイルス感染症の改善があった症例もあるようです。
由々しき事態が早く収まるよう願っています。
傷寒論を作成した張仲景さん達の時代よりも昔からヒトはウイルスとともに生きてきました。
私達は自分の出来る感染予防をし、また平和に暮らせる日が来ることを思いながら生活していきましょう。