肩こりと鍼灸
皆さんは、肩コリはありますか?
肩がこると集中力が落ちて作業がスムーズに進まないことがありませんか?
今回はそんな辛い肩こりについて、お伝えいたします。
肩こりって日本人だけ?
肩こりは本当につらい症状ですよね。
肩こりの訴えは欧米ではあまりないことをご存知ですか?
では、肩こりが欧米の方に全く存在しないかと言うとそうではありません。
欧米の方は肩こりとは言わずに首コリまたは背中コリと言っています。
英語で直訳すると、肩こりは”Stiff Shoulder”(スティッフ ショルダー)*Stiffは凝り*Shoulderは肩の意味。
合わせて肩のこり=肩こりですが、英語で肩こりと言っても伝わりません。
英語で肩こりはStiff Neck(首コリ)、Stiff Back(背中コリ)といえば伝わります。
肩こりと言っても肩だけがコルわけではなく、首や背中もコルことからこのような表現になっているようです。
同じ症状でも、表現が違うのは面白いところですね。
最近は、スマートフォンの普及に伴って”スマホ首”というキーワードもよく聞きますね。
スマホ首は、スマートフォンを長時間見ていると首や肩の筋肉が疲労し、筋肉で頭を支えることが難しくなってきます。
その状態が長く続くと首の後弯が減少して頚椎が真っ直ぐの状態になります。
別の名前を”ストレートネック”と呼んだりもしますね。
スマホ首は、スマホを見ようと頭が前傾してそれを支えるために首や肩、背中に力が入っていしまいます。
長時間筋肉へ力が入っている状態は筋疲労、血行不慮を起こす原因になります。
首の筋肉が頭を支えられない状態が続くと、頚椎(首の骨)が頭の重さを支える事が多くなり、頚椎にも負担がかかります。
スマホ首は頭の重さに筋肉が引っ張られて頚椎に負担がかかり、長時間その状態が続くと頚椎が次第に真っ直ぐになっていきます。
スマホ首に代表される肩こり、首コリをそのままにしておくと良くないことも続いていきます。
それは、近くを走行している自律神経に影響して様々な自律神経症状を起こしてしまうのです。
自律神経症状が出てきてしまうと、全身へ症状が波及し治療が長引くこともあります。
早めにコリを解消する事によって症状がひどくならずにすみます。
肩こりは肩だけが原因ではない!?
肩こりにはただ単に筋肉のこりで不快感を感じる事が多いのですが、中には内臓からの反射だったという場合もあります。
よく聞くのは、心臓からの反応で左肩から腕にかけての気持ち悪さなどがありますが、この症状は心筋梗塞の前兆の場合もあり、心臓からの関連痛、放散痛と言われています。
他にも胃の調子が良くない場合にも肩こりとして症状が出る場合があります。
機能性ディスペプシア(機能性胃腸症)は消化器系の症状があるにも関わらず、検査では異常が見られない症状です。
この機能性ディスペプシアは肩こりを伴うことがあります。
肩こり以外では胃の痛み、吐き気、背中の痛み、めまいなどが起きやすいと言われています。
このように、肩以外が原因で起きている肩こりもありますので、気をつけていきたいところです。
内臓由来の肩こりはご自分で判断することは難しいかもしれませんが、他の自覚症状を伴う事が多いので「肩こり=内臓が悪い」と思わずまずはご相談ください。
私たちは普通の肩こりとは違う場合、ツボの反応や特徴的な所見により疑いを持つことができますので、怪しい場合は専門医をご紹介させて頂きますのでご安心ください。
ご自宅で簡単にできる肩こりのツボ押し
では、ご自宅で簡単にできる肩こりのツボ押しケアについてお伝えいたします。
ご自宅ではコリのある肩へ直接強い刺激をするのはあまりおすすめできません。
コリへ直接刺激する場合、ご自宅で行うと刺激量が強すぎる事があり、かえって肩のコリや痛みが悪化する場合もあります。
鍼灸では遠隔治療と言って肩から離れているツボを利用して治療する方法がありますので、今回は遠隔治療で使用するツボを皆さんへご紹介します。
最初に皆さんへご紹介する肩こりのツボは”合谷”(ごうこく)と言うツボです。
合谷は手の陽明大腸経というツボの流れの中にあって、手の親指と人差指の付け根の一番盛り上がるところと言われています。
合谷はぐっと押すととても痛いところで、うまくツボに入ると痛気持ちいいところです。
この合谷を反対の指で圧迫します。刺激を求めて強く押しすぎないように注意してくださいね。
次にご紹介する肩こりのツボは、”後谿”(こうけい)というツボです。
後谿は手の太陽小腸経というツボの流れの中にあり、小指の付け根で手をグーにするとできるシワの端にあると言われています。
このツボもしっかりツボに入るとツーンと痛く感じます。
それぞれのツボは反対の手の指でツボを押すと良いと思います。
うまくツボに入らない方は押している最中に押している側の指の角度を少しずつ変えてみましょう。
うまくツボに入るところを見つけやすくなります。
ご家庭で、お試しください。
日頃からの体調管理はぜひ鍼灸で!
肩こりは肩だけの問題ではなく、様々な体の不調が肩に現れています。
不調の根本を治療して肩こりを治していきましょう!
根本治療は鍼灸の得意分野ですが、肩こりを1発で治すというようなことはとても難しいことです。
日頃の体調管理を心掛けていくことで「あれっ!?最近肩こらないかも!」という状態をつくっていくことができますので是非ご相談ください。