不眠症の鍼灸治療 ~長野県臨床鍼灸学会〜その1

こんにちは^_^院長の熊谷です。

3月3日(日)信州大学医学部にて長野県臨床鍼灸学会が行われました。

今回のテーマは不眠症について。

まず「中医学からみた不眠症」ということで工藤恒先生より実技講演。

不眠を訴える来院患者さんから病態を考察され、また中医学的な視点からの不眠をご講義頂きました。

不眠を訴える患者さんは意外と多く、また様々な自覚症状を伴っていることが不眠の要因になっているようです。

特に頸肩部の症状により眠れない患者さんが多いようです。

不眠を訴える患者さんは多いが不眠症と診断される患者さんは意外と少ないようです。

ICSD-2における不眠症の分類、基準なども解説頂き、中医学的な病因病機、弁証論治も解説して頂きました。

弁証としては肝鬱、陰虚、胆熱、心脾両虚、心胆気虚などが多いようです。

ストレス、飲食、過労などの病因により、神による生理活動のコントロールがバランスを崩す状態が不眠の要因になるようです。

気やエネルギー的な要素が強く、虚証が多いようです。

また実技も披露して頂き大変勉強になりました。

続いて「不眠症に対する耳鍼治療 2つのプロトコル」というテーマで小松直之先生の実技講演が行われました。

まず「不眠証に対する鍼灸」のエビデンスについてのお話がありました。

不眠症に対する鍼治療」はコクランレビューでどのように評価されているかというと

「 方法論の質が不良で、異質性が高く、出版バイアスが認められるため、現在のエビデンスは不眠症に対する鍼治療の支持・不支持を論ずるには厳格性を欠く。より大規模で良質な臨床試験が必要である。 」

とのことです(^^;

決して高い評価ではありませんが、PubMedでは「不眠症」「鍼灸」404の論文がヒットするようです。

意外と多いんだなというのが正直な感想でした。

温灸を使った研究や更年期障害の不眠に対する研究、ラットを使った基礎研究などあるようです。

また不眠症に使われる経穴トップ10なども紹介して頂き、

1.神門 2.百会 3.食とく 4.四神聡 5.安眠 6.神庭 7.内関 8.照海 9.魚腰 10.足三里

となっているようです。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3156618/

続いて耳鍼の成り立ちから、臨床研究、NADAプロトコル、今話題のBFA(バトルフィールドアキュパンクチャ)プロトコルについて解説して頂きました。

耳鍼は古代ギリシャ、ヒポクラテスの時代からあったという説もあるようですが、有名なところでは1957年フランスのノジェ医師が提唱したものが基礎となっているようです。

臨床研究としてはPubMedで「耳鍼」「不眠症」で検索すると51件ヒットするそうです。

そして耳鍼でよく使われる経穴トップ5は

1.神門 2.皮質下 3.交感 4.心 5.肝

だそうです。

不眠症、慢性疼痛に対する耳鍼と認知行動療法の無作為化比較試験では両群とも改善するという評価が出ているようです。

続いて依存症の治療として用いられることの多いNADAプロトコルと米軍で採用されている疼痛治療に即効性のあるというBFAプロトコルについて解説して頂きました。

実際の実技も披露して頂き大変勉強になりました。

後半は信州大学 保健医療学科教授の藤本圭作先生より「不眠症の原因と対策」というテーマでご講演頂きました。

続きはまた次回に・・・(^_-)-☆

当院においても睡眠障害を訴える患者さんは大変多くいらっしゃいます。

実際に治療を受けられた方は感じている方が多いと思いますが、眠たくなることが多いですよね!?

「夜眠れない・・・」なんていう患者さんでも治療中にいびきをかきながら眠ってしまうことも(^^;

人間の生活において睡眠て本当に大事だと思っています。

長い時間寝ればいいというものではなく、短くても睡眠の目的が達成されればいいのではないかと思います。

ご自分の睡眠を評価するのにピッツバーグ睡眠質問票というのがありますので一度評価してみてはいかがでしょうか。下記のサイトで入力出来ます。

http://www.sleepmed.jp/q/meq/psqi_form.php

私自身は眠れなくて困ることはほとんどないのでおかげなのですが、

「安定した効率の良い睡眠」は私自身の課題でもありますのでまた睡眠についてじっくり考えていきたいと思います!