全日本鍼灸学会報告②「すべての女性のベストパフォーマンスを応援する~月経困難症、PMS/PMDD治療のコツ~」
続いては「すべての女性のベストパフォーマンスを応援する~月経困難症、PMS/PMDD治療のコツ~」というテーマで近畿大学の武田卓先生のご講演から。
PMSとは月経前症候群のこと、PMDDとは月経前不快気分障害のことを言います。
PMS/PMDDの本当の原因は実はよくわかっていなくて月経痛がひどい人ほど症状を抱えやすい傾向にあるようです。
要因としてはストレス、セロトニン関与、GABA仮説、黄体ホルモン感受性などが疑われています。
月経痛に比べ認知が低く軽視される傾向があり実際に苦痛を抱えている方はかなり多くPMS/PMDDによる生産性の低下による経済損失は年間5千億円~1兆円とも言われております。
学生やアスリートの45%はパフォーマンスが普段の半分になるとも言われています。
そこでどんな治療をされているかというと病院ではまずピル(LEP・OC)の処方が76.8%でファーストチョイスになっているようです。
ついで漢方が19%。
その他生活指導や運動指導、SSRIなどの向精神薬など。
妊娠希望のない方、ピルによる副作用が出ない方は、まずは排卵を止めるピルの選択も状況によっては悪くはないかと思います。
漢方でよく使われるものとしては、
加味逍遥散(かみしょうようさん)、
抑肝散(よくかんさん)、
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)などがあります。
肝の高ぶり具合、瘀血(おけつ)の程度によって使い分けます。
漢方が効果あるということは当然鍼灸も効果あります!
ようは「瘀血=血液の滞り」をどう解消するかということになります。
実際に治療を継続している多くの患者さんが「最近生理前でもイライラしないんですけど…」と不思議がります。
周りの人には理解してもらいにくい月経前の症状ですが定期的な治療で改善の可能性は十分にありますので是非ご相談ください。
週に1回治療できれば理想的ですが排卵前、生理前の月2回でも効果はあります。
実は妊娠中、産後、更年期の問題は妊娠前の準備がとても大事なんです。