母乳と薬の話
こんにちは。
スタッフの宮澤です。
この間まで「今年は、暑いですね~~。」と言っていましたが
一気に気温が下がり、あれっ??寒い?と
先日より鍼灸院では、暖房を入れて皆さまをお出迎えするようになりました。
どうぞ、季節の変わり目、ご自愛くださいね(^^)
私は、鍼灸院勤務とあわせて
地域の助産師として
0・1歳学級や、未就園児をもつ親御さんの集いの広場を担当しています。
皆さんと、ストレッチや骨盤体操で体を動かし
交流時間を楽しみます♪
そんな中、母乳・子育て・お母さんの体調相談も受けます。
母乳相談に、ご自身の体調不良と授乳との関連の質問を
受けることがあるので、
いくつかの情報をご紹介します。
●お母さんの不安
「授乳中は薬を飲めない」
「薬を飲んだら、子どもに悪影響がある」
そう思うお母さんは多いです。
授乳と薬に関しお母さんが不安になる理由は、
授乳中のお母さんへの薬剤投与について、統一されたガイドラインがないため、
医師間で考え方の相違があることが影響していると考えられます。
同じ薬でも医師により、授乳可能と言われたり、不可能と言われたりします。
たとえ主治医に「授乳中でも安心して飲めるお薬ですよ。」と言われても、
心配し自己判断で必要な薬を飲まずに症状を悪化させてしまうこともあります。
“お子さんも大事ですが、お母さんも大事”です。
お母さんの体調、内服の可否を判断するのは医師ですが、
揺れ動くお母さんの気持ちを受け止め、
一緒に考える誰かがいることはお母さんの安心要素になります。
●授乳と薬
~知っておきたい情報~
*日本の医薬品添付文書には、
ほとんどの薬に「投与中は授乳を中止すること」
または「投与しないこと」と書かれています。
これは、ラットなどの動物実験で母乳中に薬の成分が移行したり、
ヒトの母乳中に薬の成分が検出されたことによります。
ただ、お子さんにどのような影響が出るのかという詳細については不明瞭です。
*アメリカ小児科学会やWHO(世界保健機関)の考え
母乳の大切さを理解した上でお母さんが使用した薬が実際にお子さんにどのような影響を
与えるのか、多くの症例報告から安全性を審査して、薬ごとに使用可能かどうかを判断しています。
その結果、母乳へ移行する量が多くてお子さんに影響が出る可能性のある薬を除き、
急性疾患で短期間に通常の量を飲む場合であれば使用可能としています。
*薬が母乳に及ぼす影響
母乳中に薬の成分は移行します。
ただし、多くの薬の移行量はお母さんが飲んだ量の1%未満と言われます。
*薬を飲むときの注意点
・処方:医師(産婦人科、内科、お子さんの小児科主治医など)の診察を受け、
「お母さんの治療に必要な薬だけ」をもらいます。
市販薬にはいろいろな成分が入っているものが多いので、自己判断での内服は避けましょう。
・医師・薬剤師には「授乳である」ことを告げ、
乳幼児にも処方するような薬を選択してもらうといいです。
・「念のため、とりあえず処方しておきましょう。」という程度の必要性であれば、
処方してもらわない方がいいでしょう。
・服用:授乳直前か直後にすると、薬の母乳への移行が少なくなります。
・服用した後はお子さんの様子をよく観察します。
⇒下痢をしないか、発疹が出ないか、眠れているか、機嫌が悪くないか、など。
もし、心配なことが起きたら小児科に相談しましょう。
~多く受ける質問~
「風邪をひいてしまいましたが、母乳から子どもに風邪がうつってしまわないか不安です・・・。」
↓ ↓ ↓
*風邪、胃腸炎、インフルエンザにかかった時に授乳を続けてもお子さんの
健康を害することはほとんどありません。
風邪がうつることを気にして、哺乳瓶で人工乳をあげても、
お母さんがお子さんのお世話を続けるのであれば、風邪がうつる可能性はあります。
ただ 母乳中に風邪のウイルスは移行しません。
母乳にはお母さんがかかった風邪のウイルスを打ち消す免疫が移行して、
お子さんを守ってくれる可能性があります。
~薬の影響や風邪がお子さんにうつることが心配な場合の授乳法~
完全母乳で育ったお子さんはお母さんのお胸の様子、母乳の味、ぬくもり、
抱っこ、匂い・・・自分が安心し落ち着くものをよく知っています。
ですから生後数か月して初めて哺乳瓶を含むと、
嫌がって飲めないことがあります。
そんな時は
・お母さん以外の人に授乳を頼める場合は、別の人に人工乳をあげてもらうといいです。
(お母さんが薬を使いたい場合は、体調を崩してしまっていることが多いので、
できるだけご主人、祖父母、地域のファミリーサポート事業など・・・
誰かの手助けを受けることをお勧めします。お母さんにも、お休みして元気の充電が必要です。)
・お母さんがあげる場合は、授乳する姿勢以外の姿勢で与えてみるのもいいです。
・哺乳瓶の乳首を嫌うようであれば、スプーンや小さいコップ(おちょこ)を
使ってあげて様子をみましょう。
~薬を飲むために一時授乳を中断したい希望を受けた時~
お母さんが大好きなお子さんは、お母さんのSOSをよく感じます。
お母さんの体や気持ちがつらい様子を察知して心配して、泣いてぐざります。
その泣き声を聞いたお母さんのお胸は張って痛みます。
搾乳方法や乳房の痛みに対するセルフケアを知っている方には実施を勧めます。
今まで飲めていた母乳を飲めなくなるお子さんの気持ちを考慮して、
お子さんにたくさんの声かけとギューの抱っこも大切です。
まわりにいる私達は、お母さんが迷いながらも、できる情報収集をし、考え、
決めていこうとする様子を見守り、客観的な情報を伝えながら、
お母さんが自分自身で納得いく方法をみつけていくお手伝いをしていきたいですね (*^_^*)