モクサアフリカ ~感染症に負けない為の日本人の知恵~

1月ももう20日。今年もよろしくお願いします(*^^*)

新型コロナの感染がなかなか収まらない状況ですが、自分自身の健康を保ちなんとか乗り越えていきたいですね!

このコロナ禍において「免疫力」というキーワードは、最終的には一番重要な要素ではないかと感じています。

しかし「免疫」というもの自体とても複雑な為、理解のないまま安易に使われていることが多いようにも思います。

「ワクチンさえできれば抗体を作ることができ、新型コロナウイルスから身を守ることが出来る!」と信じている人も多いようですが、今回の新型コロナに対する遺伝子ワクチンは、人類史上経験のないワクチンなだけにどのような副反応があるかなど、やってみないと分からないようです。

ワクチンに十分な期待が持てるかわからない状況であるのならどうしたらいいのか・・・!?

ウイルスに対する「免疫力」を高める可能性のあることをしっかり実践するしかないと思っています。

鍼灸師として「感染症に対する免疫力の向上」と言ったら「モクサアフリカ」と代田文誌先生が取り組んでいた小学校での「学童施灸」を思い浮かべます。

今回は「モクサアフリカ」についてお伝えさせて頂きます。

モクサアフリカって・・・!?

まず「moxafrica」(モクサアフリカ)とは2008年にイギリスで設立された「お灸の施術でアフリカの結核患者を救おう!」という理念を基に、アフリカ南部で「日本式」のお灸施術による結核撲滅運動を展開しているチャリティ団体のことです。

モクサアフリカのモクサは鍼灸師には大変なじみの深い「艾」のことです。

この「艾」は「もぐさ」と読み、これを人体に用いて治療することを「灸」と言います。

今の日本では、「結核」に対する意識はあまり高くないかもしれませんが、実は日本でも毎年18,000人が新たに「結核」を発症し、1,900人が「結核」で亡くなっています。

世界中で毎日4,400人もの命が結核によって、今なお失われているようです。

年間150万人が結核で死亡しており、結核は感染症死亡原因第1位となっているそうです。

経済的な理由でワクチンのうてない発展途上国では、未だに深刻な問題なのです。

そこで何かコストのかからないいい方法はないか…!?というところで、イギリスの団体が日本の医師「原志免太郎(しめたろう)」博士の論文に目をつけ、結核患者に「毎日足三里にお灸を自分自身でしてもらう」という活動に至ったようです。

この原志免太郎博士、104歳まで現役医師としてご活躍なさり、ある時期まで日本人男性の長寿記録保持者でした。

そして何より日本初の「お灸で博士号を取得」された先生として有名です。

この原先生はお灸治療による「免疫力の向上」に目をつけ、実際にご自身でも毎日「足三里」という経穴(ツボ)にお灸をされていたそうです。

「モクサアフリカ」の活動は、多くの支援者の元、現地でお灸の指導をする事で、実際に結核患者の免疫力が向上、治癒に成果を出しているようです。

そしてその成果を、RCT(ランダム化比較試験)という医療論文の中でも信頼性の高いと言われる手法で論文化し、発表されました。

モクサアフリカは、アフリカの結核患者から180名を無作為に抽出し、90名は従来の薬物治療のみ。

残りの90名は薬物治療+日本式の灸施術を行い、両群の比較を行いました。ちなみにアフリカにはエイズウイルスの感染患者も多く、なんと180名のうち49名(27%)が結核とエイズウイルスの重複感染だったそうです。

ですから、間接的ではありますが、エイズウイルス陽性患者に対する灸施術の効果の比較をすることも出来たそうです。(※灸施術+薬物の群には24名、薬物治療のみの群には25名のエイズウイルス陽性患者が存在。)

結果を簡単にご説明しますと、結核の感染力低下速度は灸施術をした場合と投薬治療のみの群で比較すると治療一ヶ月では、投薬治療のみの群は2%の患者の感染力低下がみられたのに対し、灸施術をプラスした群は11%の患者の感染力が低下し、灸施術をした群は有意に感染力の低下がみられたそうです。

そして2ヶ月経過、6ヶ月経過で比較しても灸施術の群の方が7~8%多くの患者に感染力の低下が認められたそうです。(感染力低下=免疫力の向上)

また、エイズウイルスの重複感染患者においても1ヶ月目に関しては差が認められなかったものの、2ヶ月目からは灸施術をプラスした群の方が有意に感染力の低下が認められたそうです。

また、免疫力を表すCD4陽性T細胞(ヒトの免疫系において必要不可欠な白血球。しばしばCD4細胞、Th細胞、T4細胞と呼ばれる。この細胞の役割は他の免疫系細胞にシグナルを送ることから、ヘルパー細胞とも呼ばれる。)数に関しても、投薬のみの群も、灸施術をプラスした群も共に増加が認められたそうですが、6ヶ月後の投薬のみの群のCD4陽性T細胞数の増加率が28%に対し、灸施術をプラスした群は53%も増加率が認められたそうです。

これらの結果から質の高いエビデンスとして結核患者に対して灸施術を行った方が免疫力を向上させることが証明されたようです。

お灸治療が新型コロナウイルスに対して予防効果があるという科学的な根拠を示すことは難しいかもしれませんが、予防効果、重症化を防ぐ効果を期待できるかもしれません。

またモクサアフリカのサイトより現地の活動への支援も募っておりますので、少額でもみんなが支援することが活動を支えることになるかもしれません。

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