性欲と性機能について①
皆さん、こんにちは(*^^*)スタッフの飯塚です。
2月にユニコさん主催で“性欲と性機能セミナー”がzoomによるオンラインにて開催され受講させて頂きました。
講師は、京都の「SR鍼灸烏丸」の伊佐治景悠先生と大阪の「長崎はりきゅう接骨院」の長崎絵美先生のお二方で行われました。
伊佐治先生は主に男性不妊、特に勃起障害についてのメカニズム、現状、実際の治療を講義していただきました。
長崎先生には女性目線で見たパートナーシップについて講義していただきました。
まず今回は、伊佐治景悠先生から学んだ事をご紹介したいと思います。
- 勃起のメカニズムについて
勃起は陰茎から陰茎背神経、陰部神経を求心路として上行し、脳の上位中枢(性中枢)へ情報が伝わるルートと脳の大脳皮質感覚野(視覚、五感が関係する部位)から上位中枢へ伝わるルートが有り、上位中枢から下行して海綿体神経へ伝わり勃起が起こります。
陰茎ではラセン動脈の拡張が起こり血液の流入量は多くなるが、ラセン動脈の拡張により陰茎小静脈が圧迫されて血液の流出量が減少するために勃起が持続します。
- ED治療薬について
バイアグラ、レビトラ、シアリスの現在3種類が処方薬としてあります。
全てPDE5*を阻害する作用があり、勃起の持続効果がある。
PDE5は、cGMP(サイクリックGMP)を分解する物質で、cGMPは陰茎内の平滑筋内にあり、平滑筋を弛緩させる物質です。
海綿体神経から放出されるNO(一酸化窒素)がcGMPを活性化します。
PDE5阻害薬は薬によって持続時間が違います。
空腹時の服用が必要だったり脂質の多い食事を避けたりする必要がある薬もあります。
バイアグラ、レビトラは2〜3時間の効果がありますが、空腹時の服用が好ましく食後の服用では効果が薄れてしまうそうです。
シアリスは新しく開発されたPDE5阻害薬で持続時間が36時間あるので事前に服用すれば食事の影響を受けることがありません。
PDE5阻害薬を服用することで勃起不全が改善しますが、薬を服用後、常に勃起状態だと困ると考える方もいるかと思いますが、実際に陰茎は情動や五感の刺激で興奮が起こることで勃起しますので、興奮が起きない限り勃起は起きません。
そして、ED治療薬は医師が処方する処方薬です。
ネット通販などで海外製の薬が販売されて個人でも購入可能な状況ですが、添加物に汚染物質や不純物、健康被害をもたらすものが含まれている偽造薬がほとんどのため、ED治療薬は必ず医師から処方してもらい服用してください。
勃起不全にはPDE5阻害薬でほとんど解決できますが、反対にPDE5阻害薬が効果ない場合や不適応の疾患を持っている方には使用できず、現在西洋医学ではPDE5阻害薬以外に勃起不全を解決する方法がありません
*PDE5:海綿体に多く存在する酵素で平滑筋を弛緩させる情報伝達に関わる物質を分解する働きをもちます。 この PDE5 が活発になりすぎると勃起機能には障害となるため、PDE5 阻害薬によりこの酵素を抑制しそれによって平滑筋が弛緩して血流が良くなり、勃起を促します。
- 勃起不全の治療方法
勃起不全を改善するために様々な治療法があります。
投薬治療(PED5阻害薬)、体外衝撃波、陰茎海綿体注射、陰圧勃起補助器具、プロステーシス、鍼灸、などです。
現在主流な物理療法は体外衝撃波と陰茎海綿体注射あたりが多く処置されている方法のようです。
陰圧勃起補助器具やプロステーシスの手術は日本においてあまり見かけなくなりました。
プロステーシスは陰茎海綿体へ曲げ伸ばし式のインプラントを埋め込みます。
これにより勃起不全の場合でも埋め込んであるプロステーシスの位置を移動するだけで陰茎を勃起させることができます。
陰圧勃起補助器具は筒状のシリンダーに陰茎を入れて、そのシリンダーの中を陰圧にすることで、陰茎の海綿体内に血流を充満させて勃起を起こすというものです。
勃起を維持させるために陰茎の根元をゴムバンドで締めて、陰茎の血流を止めた状態にしています。
体外衝撃波は陰茎に低出力の体外衝撃波刺激をすることで新生血管の生成を促します。
体外衝撃波はPED5阻害薬と併用することで更に効果が出ます。
陰茎海綿体注射は陰茎へプロスタグランジンE1を注射します。
血管拡張を促して陰茎を強制的に勃起させます。
- 鍼灸による勃起不全の治療
それでは、鍼灸治療による勃起不全について解説いたします。
全身の反応として鍼灸治療を行うと自律神経を調整する作用があります。
自律神経の調節がうまくいくようになると身体の血流が良くなります。
また、仙骨にある中髎というツボを鍼で刺激すると陰部神経を介して刺激が脳の性中枢に行きます。
性中枢から陰茎へ信号が伝わります。
海綿体神経からNOの分泌が起こり、cGMPが活性化して勃起が起こります。
また、勃起不全は体調が良くない場合にも起きやすく、特に睡眠不足では勃起が起きにくいようです。
鍼灸治療で自律神経を整え身体がリラックス出来るようになると入眠しやすくなります。
日本国内と海外では性機能に関する悩みに違いがあり、日本で男性が病院で性機能に問題があって受診する理由は膣内射精障害が一番多いそうです。
海外では、早漏の悩みが一番多いそうです。
膣内射精障害の主な原因は過剰刺激によるマスターベーションだと言われています。
少しずつ自分好みの強さで行うことで刺激に慣れてしまいます。
陰茎への強い刺激に慣れてしまうとなかなか膣内で射精できません。
現在、マスターベーションによって陰茎が強い刺激に慣れてしまった場合に陰茎への刺激を段階的に弱くしていくトレーニングキットがあります。
- 勃起不全の治療はそれぞれの治療を組み合わせて行うと相乗効果
勃起不全の症状改善はそれぞれの治療を組み合わせて行うと相乗効果が出ます。
ED治療薬はPDE5を阻害することによって勃起を維持します。
PDE5のもとは神経から排出されるNO(一酸化窒素)です。
NOは陰部神経から血管を通って陰茎海綿体へ行きます。
血流を良くするには鍼灸治療、体外衝撃波などが有効です。
また、勃起は情動などにも関係しますので、鍼灸治療でリラックスするのも良いです。
それぞれの良いところを組み合わせて治療をすることで効率的に改善に向かいます。