注目!男性不妊についてのお話

皆さんこんにちは、スタッフの飯塚です。

昨今、不妊治療に関する話題や話をよく聞くことが多くなってきているかと思います。

実際は女性への不妊治療が先行して研究・臨床が進んでいるのが現状です。

この現状を見ると不妊治療は女性側だけが問題なのかとどうしても思ってしまいがちですが、実は今まで注目や研究がされることが少ない男性側の問題も半数近くあることがわかってきました。

今回、男性不妊に関する勉強を一年以上続けてきた経緯がありまして、少しでも多くの方に男性不妊の現状を理解していただきたいと思いブログを作成いたしました。どうぞご覧ください。

男性不妊の種類

男性不妊と一括りにするには大きすぎますので、一つ一つ男性不妊になる原因について見て行きたいと思います。

男性不妊になる原因には大きく分けて二つ先天性と後天性とがありますが、さらに見ていくと先天性、後天性の中にも男性生殖器の性機能障害、造精機能障害、精路通過障害、副性器機能異常があります。

性機能障害とは男性生殖器の機能に障害が起き結果として男性不妊になっている状態です。

具体的な病気は勃起不全、膣内射精障害、逆行性射精があります。

性機能障害以外に問題がなければ機能障害の治療をして症状が改善すれば男性不妊も改善します。

造精機能障害は男性生殖器の精巣での精子形成に問題があります。

この造精機能障害は男性不妊の原因の中で一番多い疾患です。 

日本Men’s Health医学会によれば男性不妊の原因の82.4%を占めるとも言われています。

精路通過障害は男性生殖器の精管に問題があり結果として男性不妊となっている状態です。

精巣の造成機能が問題なければ、精巣から精子を取り出す手術を行うことができます。

副性器機能異常は精巣以外の性器の異常が男性不妊を起こしている原因です。

具体的には膿精液症や無精液症があります。

これらの症状について後ほど詳しく説明して行きます。

問診表からわかる身体の状態

当院の男性不妊治療の開始時や婦人科、泌尿器科では男性不妊に関する問診を行います。

その中で、各項目で特に確認しなくてはいけない項目があります。

ご紹介させていただきます。

男性不妊を抱える方の中で一番多い症状は停留精巣です。

現在では、1歳半健診などでまず見つかる病態ですが、片側の停留精巣の場合成人まで見落とされるかたもいるようです。

精巣が陰嚢に降りてこないと温度による過度のストレスを受けてしまい、造精機能は低下します。

日本の統計では成人の両側停留精巣は全例が無精子症でした。

次に、少年期に多い疾患である“精巣捻転症”や外傷は、自己免疫性造精機能障害になる可能性があります。

自己免疫性造成機能障害とは、外傷などの何らかの原因により血液精巣関門が破錠しその結果、自己免疫反応を引き起こして、精巣炎となって精子形成が障害されたり抗精子抗体の産生により造成機能が障害されたりする状態を言います。

クリニックにおいては、無精子症で受診され片側精巣捻転罹患後や片側停留精巣術後や精巣外傷などの既往症を有する方が、残った側も閉塞でなく造精機能障害が認められることがあります。

耳下腺炎性精巣炎(いわゆるおたふくかぜ)も造精機能を低下させてしまいます。

思春期以降におたふくかぜに罹患した方は要注意で、20%以上の確率で精巣炎を発症し、両方の精巣に及んだ場合には無精子症に至る場合があります。

ただし、おたふくかぜになっても精巣炎になってなければ造精機能は大丈夫なことが多いようです。

次に、“性感染症”の既往のある方は、精液中に白血球が多い膿精液症になりやすく、造精機能が正常でもなかなか受精しないことが知られています。

性感染症のうちで、男性不妊の原因となるものとして重要なのは淋菌とクラミジア感染症です。

淋菌に感染すると、排尿時の痛みや尿道から膿が多く出るので、発見が早くすぐに治療される方が多いのですが、クラミジアの感染は排尿時の痛みは軽く痒み程度のこともあり、尿道からの膿も淋菌の時と違って量が少なく、サラサラしているので、自覚症状が全くない人がおり注意が必要です。

クラミジア感染症にかかっている事に気がつかないことも多いのに、無精子症の原因になるところは同じですので、淋菌よりクラミジアの方がやっかいかもしれません。

ちなみに、自覚症状のない20代の男性を調べてみたら、4〜5%がクラミジアにかかっていたという報告もあります。

今回はここまで。

今後も男性不妊に関する記事を掲載し、多くの皆さん方への理解に役立てればと思います。