注目!男性不妊のお話パート2

皆さんこんにちは!くま鍼灸院スタッフの飯塚です。

今回は前回の続き、男性不妊の原因についての話をさせていただきますね。

気管支炎などの“慢性呼吸器疾患”は、頻度はさほど高くはないものの、精子無力症と合併する事があります。

“糖尿病”の既往は、逆行性射精(尿道側ではなく膀胱に向かって射精してしまう)、勃起不全(ED)との関連があります。

また、“がん”の治療のために放射線治療や抗がん剤治療を受けると造精機能はなくなります。場合によっては回復しない事があります。

“手術”の項目で一番多いのは、鼠径ヘルニア(いわゆる脱腸)の手術です。
小児期に手術する事が多いのですが、小児の精管は非常に細く、また部位的に鼠径ヘルニア根治術の際、損傷する事があります。
10例に1例は精路閉塞を来しているとの報告もあります。
成人に対しての鼠径ヘルニア根治術に対する異物反応で精路閉塞を来すこともあります。

その他、膀胱や尿道の手術、脳の手術なども男性不妊になる可能性があります。手術の既往に関しては、小児期の手術だと本人はわかっていない事もあります。下腹部あたりに手術創がないかご本人でチェックされるといいと思います。

次に服薬についてお伝えいたします。

“ステロイド剤”は長期使用で、血中のテストステロン量を増やし、精巣内におけるテストステロンの分泌を妨げます。

“抗ヒスタミン剤”テストステロン量の低下、精子数減少がおこりますが、運動率や精子形態の影響は少ないようです。

“抗うつ剤”の第一選択薬としてよく用いられるのが「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(通称SSRI)」です。商品名としてはパキシルやルボックスなどがありますが、これまでにSSRIが射精障害を引き起こすことは数多く報告されていて、実際にSSRIの作用を用いて、早漏の治療薬としても使われているほどです。
また、SSRIを服用していると、精液所見が悪くなり、さらに使用期間がながくなるほどDNA断片化率も高くなるという報告があります。SSRIだけでなく抗うつ剤全般に性欲の低下などの性機能障害の副作用があります。
うつ病は、不妊治療よりもその治療が優先されますが、うつ病の治療薬が精子力を低下させている可能性があることも認識しておいてくださいね。

“胃薬”市販薬ではありませんが、胃潰瘍や逆流性食道炎などに処方されるプロトンポンプ阻害薬は強力な胃酸を止める薬で、6〜12ヶ月間の使用は乏精子症のリスクが2.96倍と高くなったという報告がありました。

鎮痛剤や風邪薬に含まれているイブプロフェンも血中テストステロンを低下させ、男性不妊に関与するという報告もあります。

 “育毛剤”男性型脱毛症(AGA)の治療薬のうち、フィナステリドを主成分とする治療薬は、男性ホルモンを抑制する抗アンドロゲン薬の一種であり、AGAの主原因の一つとされるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制する働きがあります。DHTは男性ホルモンであるテストステロンが5α-レダクターゼと結びつくことによって生成され、血中のDHT濃度が高いほど男性型脱毛症は重症化していきます。フィナステリドはこの5α-レダクターゼの働きを抑制し、血中のDHT濃度が高まるのを防ぎます。副作用として精子数の減少、勃起不全、射精障害があります。長期服用している方が服用をやめると、平均11.4倍精子数が増えたとの論文もありました。用量を守っていれば、このような副作用が起こることは稀という意見もありますが、もともと造精機能が悪い方は、こういった薬がきっかけで一気に低下してしまう場合もあるようですので、妊活中は服用を避けるのが無難かと思います。

さて、今回はここまで。

次回以降は男性不妊に関係する検査の項目についてです。お楽しみに。

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